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うつ病の症状は気分の落ち込みやからだの重さやつらさなどからあらわれることがあります。 本来の自分を取り戻すために、できることから始めてみませんか。

うつ病の治療について知る

うつ病の治療方法

監修:一般社団法人日本うつ病センター 顧問 
長崎大学 名誉教授 
医療法人五省会出島診療所 所長 
中根 允文 先生

うつ病の治療

うつ病の治療の基本

うつ病の治療には、休養、精神療法、薬物療法などがあります。

休むことは悪いことではありませんし、「何かやらなければ」とあせることもありません。休養をとることは、うつ病から回復するために非常に重要です。

薬物療法がのぞましいと判断された場合は、セロトニンやノルアドレナリンに作用する、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)などの抗うつ薬が使われることがあります。他にも三環系や四環系と呼ばれるものもあり、医師はこれらの抗うつ薬の中から患者さんの症状に合ったものを処方します。

うつ病の治療の基本

精神療法

精神療法では、医師やカウンセラーなどが、患者さんと対話を重ねながら、問題を解決する方法を患者さんと一緒に探すお手伝いをします。精神療法には認知療法や対人関係療法などがあります。

薬物療法

薬物療法を行う場合、最初は副作用を抑えるために少量から抗うつ薬の服用を開始し、徐々に適切な服用量に調整していきます。抗うつ薬の効果があらわれるまでには、服用開始から2∼3週間ほどかかるため、吐き気や眠気、めまい、頭痛などの副作用が先にでる場合があります。副作用がひどいと感じるときや長引くときなど、気になることがある場合は、医師にご相談ください。

効果の有無の判断

抗うつ薬の効果はすぐにはあらわれません。
2∼3週間、同じ薬を飲み続けてから、効果の有無を判定します

効果の有無の判断野村総一郎監修:入門うつ病のことがよくわかる本,2010, p.56,講談社,東京

  • ※:抗うつ薬の効果があらわれる時期については個人差があり、4∼6週間と書かれているものもあります。
  • (一般社団法人日本うつ病センターホームページ うつ病診療の要点-10 http://www.jcptd.jp/medical/point_10.pdf)


抗うつ薬の主な副作用

  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 便秘・下痢
  • 口の渇き
  • 眠気
  • 吐き気・嘔吐

など

入院について

うつ病の症状が重い場合、または自殺の危険を避けるため、リハビリテーションや自宅では十分に休息がとれない場合など、さまざまな目的で入院治療を行うことがあります。入院の期間は、患者さんにより異なりますが、精神病床の平均在院日数は、以前に比べて短くなっている傾向があります1, 2)

  • 1)厚生労働省ホームページ:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス
    http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/medical_2.html(2015年5月28日アクセス)
  • 2)厚生労働省ホームページ:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス
    http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html(2015年5月28日アクセス)
  • <参考資料>

    野村総一郎監修:入門 うつ病のことがよくわかる本,2010,pp. 12-27,講談社,東京

うつ病治療の経過を知る

  • 治療により状態が安定するまで

    うつ病の治療は、医師による診断から治療を開始する「急性期」をへて、症状がほぼなくなる「継続期」へ進み、やがて安定した状態が保たれる「維持期」へ向かうとされています。しかし、治療の経過は人によりさまざま。よくなった状態が続いても、自己判断で服薬をやめたりすると、うつ病が再発することもあるので、あせらずに取り組むことが大切です。

  • 治療の経過

    治療の経過

    Kupfer, D. J.: J. Clin. Psychiatry, 1991, 52, suppl.28, 改変

  • 大切なのは、心と体の両方に目を向けること
  • 大切なのは、心と体の両方に目を向けること

    うつ病の症状は多彩であり、心だけではなく体の症状があらわれる場合があります。治療では、それらの症状を取り除き、病気になるまえの生活に戻っていくことをめざしていきます。

    しかし、すべての症状を取りきらず、どれかを残したままにしてしまうと、うつ病が悪化するおそれもでてきます1, 2)うつ病は、心と体の両方に目を向けて、治療を進めていくことが大切だと考えられています。

  • 大切なのは、心と体の両方に目を向けること
  • 大切なのは、心と体の両方に目を向けること
  • 大切なのは、心と体の両方に目を向けること
  • 1)Pintor, L. et al.: J. Affect. Disord., 2003, 73(3), 237
  • 2)Judd, L. L. et al.: J. Affect. Disord., 1998,50(2-3) , 97

うつ病治療に大切なのは、十分な休養

うつ病の治療の中でも、心と体を十分に休養させることは、もっとも重要だといわれています。ここでは、具体的な休養のとり方や日常生活の過ごし方、心の持ち方や治療効果を高めるための薬の服用方法など、うつ病と上手につきあっていく方法を紹介します。

休むことは、治療の一環です

うつ病の患者さんの治療において基本となるのが、「休養」と「薬物療法」です。

特に抑うつ状態の強い患者さんにとっては、休養をとることが非常に重要となります。なぜなら、フル回転で毎日を送ってきた患者さんにとっていったんブレーキをかけることは、新たに自分のペースをつかむきっかけとなるからです。休養をとることで薬物療法も本来の力を発揮でき、休養と薬物療法は車の両輪のような存在といえるでしょう。

とはいえ家事や育児に追われていたり、仕事を持っている人の中には、休むことに大きな抵抗を感じる人もいるでしょう。休養をマイナスイメージで捉える患者さんは多いようですが、休養は治療の一環です。心と体をしっかり休めて、うつ病治療に専念しましょう。

休むときは、次のようなことに注意しましょう

休むときには、環境にも気をつけましょう。自宅で休むといっても、小さなこどもがいたり、自営業で人の出入りが多い、また家族の理解が得られないといった状況では、かえってイライラしたり、気をつかったりするものです。そうしたときには、入院をしてじっくり休養をとるという選択肢もあります。

また、抑うつ症状の強い時期には静かな環境で安静を保つ必要がありますが、3食はなるべく決まった時間帯にとり、一定の睡眠時間を保つなど、生活リズムを乱さないようにしましょう。

気が向くようなら、散歩などの軽い運動を始めてみるのも心身によい影響をもたらします。回復への道のりに向けて少しずつ、やりたいと思うことを実行していきましょう。実行してみて「楽だった」と感じることが、次の回復へのステップへとつながるのです。

休養時期には、自宅でどんなことをすればいいのですか?

休むことに慣れていないと、ついつい「この機会に何かをやらねば…」と自分を追いこんでしまいがちです。無理やり外出をしたり、経験のない家事を始めたりするなど、あせりから何かを始めるのは禁物。患者さんには、自分自身をゆっくり見つめる時間も必要です。

あせらずにうつ病治療の継続を

うつ病は、ゆっくりと時間をかけて回復していきます

うつ病の患者さんは、早く治したい、早く仕事に復帰したいという強い思いを抱くものです。回復を待つこと自体が、患者さんにとっては苦痛といえるかもしれません。

しかし、うつ病の回復には、一般的に時間がかかるものとされています。うつ病の程度や患者さんの置かれている状況によっても異なりますが、風邪のように「薬を飲んで熱が下がったら治る」などと回復のプロセスがはっきりと見えるものではありません。大事なのは、それをもどかしく感じてあせらないことです。うつ病の患者さんの中には、あせって仕事への復帰を急ごうとする人もいますが、こうした無理は禁物です。なぜなら、ケガの表面は傷が閉じたように見えても、その奥が十分治りきっていないときに、ちょっとしたきっかけで傷口が開いてしまうのと同じです。うつ病も、あせって無理をすると、治りかけた病気がよけいに悪化してしまうおそれがあります。

治療中には、重要な決定は避けましょう

うつ病の回復には時間を要するものですが、その間、患者さんはなかなか治らないことにあせったり、自分に自信を失って人生を左右するような決断を下してしまうこともあります。

自信を失ったことによる誤った決断例

退職を決意する

久しぶりに会社の上司と面談を行ったが、「自分は会社にとって迷惑な存在だ」と思った。

男性・サラリーマン(休職中)

離婚を申し出る

自分のかわりに家事をやってくれている夫が疲れきっている。「自分は母親、妻としての役割を果たしていない」

女性・専業主婦

大学を退学する

両親が大学の学費や生活費を払ってくれているのに、「授業に出ないのは申し訳ない」

男性・大学生(休学中)

こうした、のちの人生に大きな影響を及ぼす重要な決定は先送りにしましょう。うつ病になると、どうしても自分に自信を持てなくなり、将来を否定してしまいがちです。うつ病から回復しても同じように考えるのであれば、そのときに判断すればよいことです。治療中には、周囲に気をつかいすぎることなく、治療に専念しましょう。

休んでいると、どんどん自信を失ってしまいますが…。

うつ病の患者さんは仕事や家事を休むことで、自分の存在価値を見失いがちです。また、病気のせいでできなくなってしまったことに目がいきがちですが、回復期においては少しずつできることも増えています。久しぶりの外出を苦痛と感じなかった、以前好きだったテレビドラマを面白く感じたなど、ちょっとした回復の兆しを意識してみましょう。

うつ病を再発させないために

再発を防止するためにも、お薬を飲み続けることが重要

うつ病の患者さんにおいて、症状が強く出る急性期はだいたい3ヵ月程度とされています。その後は、少しずつ安定すると考えられていますが、この時期にうつ病が悪化したり、いったんよくなったと思っても再発しやすいことがさまざまな研究からわかっています。

いったん症状が安定しても、自己判断でお薬の量を減らしたり、通院をやめたりするのは危険です。原則としてこれまでと変わらず、抗うつ薬を服用し続けることでうつ病の再発を防げるとされています。

抗うつ薬の中でも三環系と呼ばれるお薬が中心に用いられていた時代には、効果は強いものの副作用が強くあらわれる場合もあるため、継続して服用することに困難を感じる患者さんもいました1)。しかし現在では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤)と呼ばれる抗うつ薬が開発され、治療の選択肢が増えたことで、薬物治療を続けやすくなったといわれています。

お薬の量を減らしたり中止したりするか、さらに長期にわたって再発を予防するために薬物療法を続けるかどうかは患者さんの状態をみながら、医師が判断を行います。うつ病の治療は長期のスパンで考えられているため、途中で勝手に休薬をすると、せっかくの効果もムダになってしまいかねません。

油断せず、再発のサインに注意を

うつ病の患者さんの多くは、いったん症状がよくなっても再発するケースが多く、50∼80%が再発するという報告もあります2)。再発を防止するためには、医師から処方された薬を服用し続けるとともに、再発のサインをキャッチし、医師に相談することが重要です。「前と同じような症状が出ているけど、2回目だからたいしたことはないだろう」「今は症状が落ちついているから、これ以上悪くなることはないはず」と思ってしまうのは危険です。

うつ病は、再発を繰り返すたびに症状がひどくなるともいわれています。いったん症状が落ちついたからといって、安心してはいけません。その油断が、うつ病を悪化させる原因となるかもしれないのです。

服薬で不安な点があれば、些細なことでも医師に相談してよいでしょうか?

お薬は患者さんによって違う効き方をする場合もあるため、不安に感じたことは医師に相談するとよいでしょう。場合によっては服用する量を変更したり、お薬そのものを変える判断もあります。また、そうした相談をすることによって、医師と患者さんとの信頼関係を築くことができ、よりよい治療につながると考えられます。

  • 1)(社)日本精神科看護技術協会監:うつ病看護,2011,pp.30-43,精神看護出版,東京
  • 2)Burcusa, S. L. et al.: Clin. Psychol. Rev., 2007, 27(8), 959
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