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うつ病の症状は気分の落ち込みやからだの重さやつらさなどからあらわれることがあります。 本来の自分を取り戻すために、できることから始めてみませんか。

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医師からのメッセージ ~うつ病治療で大切なこと、準備しておきたいこと~

もとの生活に戻るには、運動、食事、周囲のサポートが大切。少しずつ体を動かし、栄養に気をつけていきましょう。

市ヶ谷ひもろぎクリニック 理事長 渡部 芳德 先生

―もとの生活に戻るために、大切なことは何でしょうか?

最後まで残りがちな症状、たとえば不安感、倦怠感、おっくう感をなくしていくことが大切です。

かなり症状が改善した外来の患者さんに対して、どのような症状が残っているか聞いてみると、多くの患者さんが、“不安感”や“倦怠感”、“おっくう感”が残っていると答えます。また“不眠”が残っている方も多いですね。

症状がよくなり、以前の病気でなかったころに近い状態(寛解)にもっていくためには、こうした残っている症状を確実になくしていくことが大切です。

そのために患者さんには、お薬での治療と並行して、“リワーク(復職支援)プログラム”に取り組んでいただいています。このプログラムの柱は4つで、「オフィスワーク」「運動」「食事(栄養)」「認知行動療法/CBT」です。加えて、「周囲のサポート」がとても大切です。

CBT: Cognitive Behavioral Therapy

―リワークプログラムでは、実際にどのようなことを患者さんに取り組んでもらっているのでしょうか。

【運動】1日30~40分のウォーキングを習慣に

  • まず「運動」に関しては、1日30~40分のウォーキング+通勤や仕事などでの移動をあわせて、1日1万歩を目標に歩いていただいています。毎日歩くことが難しければ、週に3日程度でも構いません。

    運動には血流がよくなるなど様々な効果がありますが、まず脳で記憶力などに関係する海馬が大きくなり、認知機能などが向上するとされています1)。そして、歩くことは手足を規則的に動かすリズム運動ですから、脳を刺激することにもつながり、セロトニンなど神経伝達物質の活性を高めることもできます2)

  • 市ヶ谷ひもろぎクリニック 理事長 渡部芳德 先生

私自身、毎日1万歩のウォーキングを日課にしています。ウォーキングはお金もかかりませんし、ある程度症状が改善したら、ぜひ取り組んでいただきたいですね。

【食事】糖質(炭水化物)の摂取量を減らす

最新の研究では、閉経後の女性で甘い物やご飯などの糖質を摂り過ぎると、うつ病になりやすいことがわかっていますし3)、肥満を合併しているうつ病患者さんは、特徴的な食行動をとることが示唆されています4)。患者さんに食生活を伺うと、ご飯やパン、麺類など炭水化物に偏った食事をしている方もいらっしゃいます。そのような患者さんには、少しずつ、糖質(炭水化物)の摂取量を減らすよう指導をしています。

私の指導では、糖質は主にレンコンやニンジン、カボチャ、ジャガイモなどの野菜から摂っていただき、ご飯や麺類、パンなどは減らしてもらいます。患者さんからよく「どのくらい減らせばいいですか?」という質問を受けますが、「体重が減り始めれば、その糖質の量は適切です」とお答えしています。

一人暮らしや会社勤めの方は糖質制限食が難しく感じられるかもしれませんが、会社の近くに野菜をたくさん摂れるレストランを探しておいたり、根菜類をレンジで加熱して食べたり、ちょっとした工夫で実現可能です。私自身は、玄米を1週間分、圧力釜でまとめて炊いて、冷凍保存しています。7日間のメニューをあらかじめ決めておいて、それを繰り返すのもおすすめですよ。

  • 【食事】糖質(炭水化物)の摂取量を減らす
  • 私たちの体は、基本的に“食べた物”でできており、食べている食品や食べ方が不適切であれば、体調面にも影響を及ぼします。

    うつ病の場合も、食事を見直し、体調を整えることはとても大切です。薬物療法や心理療法(認知行動療法など)の効果を十分に得るためにも、食べる物や食べ方を少しずつ改善していきましょう。

    [渡部先生は、日ごろから玄米おにぎりを中心とした無農薬野菜などの食事を摂ることを心がけています。ソーセージに見えるものは、大豆から作られた“ベジミート”です。]

【周囲のサポート】食事の管理と声かけをしてもらう

一緒に暮らしている人がいる場合は、その人のサポートを得ることも大切です。先ほどご説明したような糖質を減らした食事を作ってもらうなど、栄養管理をしてもらいます。

また、周囲の方に“声かけ”をしてもらうことも重要です。ある程度症状が回復してきたら、横になっているだけでなく、体を動かすことや外に出かけることが重要なので、「サポートプログラムに行ってきたら?」「少し歩いてきたら?」など声をかけてもらうことも回復の後押しになります。できたことをほめてもらい、できることを増やしていくのもいいですね。

主婦の方の場合は、もし可能なら実家のお母さまなどにサポートをお願いすることも考えてみてください。

―リワークプログラムでは、“考え方のクセ”を修正するために認知行動療法も組み込んでいるそうですが、機会があれば受けたほうがいいのでしょうか。

診察していると、うつ病の症状と相まって思い込みが強くなる患者さんが多いという印象を受けます。たとえば「○○さんは、こう思ったに違いない」など、相手に確認をしていないのに決めつけてしまっていることが多いのです。こうした“考え方のクセ”は、認知行動療法を受けることで修正できることがあります。

臨床心理士との1対1のカウンセリングで行う場合、最初は1週間に1度であっても、次第に2週間に1度、1ヵ月に1度、3ヵ月に1度というように、頻度を減らしていきます。また、同じ病気の体験をした人達とのグループセッションもおすすめです。もし近くの医療機関で認知行動療法のカウンセリングやグループセッションを行っている場合は、受けてみるといいかもしれません。

―もとの生活に戻るためのメッセージをお願いします。

うつ病は、よくなることが多い病気です。先ほどもお話ししましたが、周囲のサポートを得ながら、ウォーキングをしたり、食事に気をつけたり、できることから少しずつ取り組んでいきましょう。

1つでもできたことがあれば、自分をほめてあげてください。回復すると信じて、あせらず前に進んでいきましょう。

1)Erickson, K. et al.:Proc. Natl.Acad. Sci. U S A., 2011, 108(7), 3017
2)有田秀穂:日本医事新報, 2009, 4453, 38
3)Gangwisch, J.E.:Am. J. Clin.Nutr., 2015, 102(2), 454
4)野口律奈ほか:日精診ジャーナル, 2013, 39(5), 42

(ご略歴)
山梨医科大学(現 山梨大学)医学部医学科を卒業。福島県立医科大学に入局後、米国Duke University Medical Centerに留学し帰国後、博士号を取得している。日本精神神経学会、うつ病リワーク研究会などに所属。精神保健指定医。
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