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うつ病の症状は気分の落ち込みやからだの重さやつらさなどからあらわれることがあります。 本来の自分を取り戻すために、できることから始めてみませんか。

うつ病の治療について知る

抗うつ薬による治療

監修:一般社団法人日本うつ病センター 顧問 
長崎大学 名誉教授 
医療法人五省会出島診療所 所長 
中根 允文 先生

抗うつ薬のはたらきと種類

現在、抗うつ薬も神経伝達物質の種類に合わせて、さまざまなタイプが開発されています。しかもそのはたらきは、脳内のシナプスの大変狭い隙間で送り手側に再度取り込まれることを防いで、隙間全体の神経伝達物質の量を増やしたりしているのです。

なぜ他の薬剤と併用するの?

うつ病はさまざまな症状を示して進行する病気です。多くのうつ病患者さんは、神経伝達物質のバランスがとれない影響で、覚醒状態が続いて眠れなくなることがあります。
このように不眠の症状が出るときは、うつ病の治療として睡眠薬を治療の初期から併用することがあります。不眠の症状をまず緩和させて、症状を取り除きながら、うつ病を治療していくのです。

うつ病の治療には、睡眠薬との相互作用が少ない抗うつ薬が求められます。

抗うつ薬の種類は?

現在使われている抗うつ薬には、
次のようなタイプがあります。
● SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
● SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
● NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)
● 三環系抗うつ薬
● 四環系抗うつ薬
などがあり、症状やうつ病の重症度に
合わせて医師が処方します。

具体的なはたらきって?(シナプスでのSNRI)

では具体的に、どのようにして抗うつ薬ははたらいているのでしょうか?ここでは代表してSNRIのはたらきを見てみましょう。

セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、送り手側の神経細胞の末端から受け手側の神経細胞の末端に、単純に送り出されているのではありません。シナプスには受け手側で受け取られなかった神経伝達物質を、もう1度送り手側に戻すシステム(再取り込み)があり、送り手の神経細胞にもその受容体があります。

SNRIは、この再取り込みの受容体をふさいで再取り込みの機能を下げて、シナプス間隙に神経伝達物質を増やそうとします。

薬の量のコントロールは医師にまかせて!

医師は患者さんの症状を診たり、訴えを聞いて抗うつ薬を処方しますが、治療の初めは量を少なめから始めて体の反応や副作用などの様子を見極めながら、徐々に効果が出る量まで増やしていきます。

そして、しばらく飲み続けていただき効果を診ながら調節し、症状がおさまるかどうか、さらに再発の可能性を判断しつつ、少しずつ量を減らしていき、医師が最終的に治療を終了させます。

抗うつ薬の量のコントロールはとても難しく、患者さんやご家族ではなかなか判断ができません。万一途中で独自の判断で薬をやめてしまうと、発汗、吐き気、ふるえ、不眠、混乱、悪夢、めまいなどの症状が出ることも少なくありません。それに再発も起こしやすく、うつ病がさらに悪くなることが報告されています。薬の量のコントロールは、ぜひ医師にまかせてください。

いつまで薬を飲み続けなければならないの?

なぜ抗うつ薬を症状が消えてからも飲み続ける必要があるのでしょう? それはうつ病が、また悪くなることが多い病気だからです。うつ病からくるさまざまな症状も治療を続けていくうちに消失していきますが、ベースにあるうつ病そのものはまだ完全には治っていないことが多いのです。

ダムの水を増やそうと治療していても、中途半端なところで中断すると、また水が減ってくる可能性もあります。
水が元の状態にダムに満々と満ちるまで、うつ病が完治するまで薬を飲み続けてください。そして以前のような感情豊かな、行動力のある生活をとり戻すことをあせらずゆっくりとめざしてください。

「患者さんも参加するうつ病治療」という新しい考え方とは?

患者さんもそのご家族も、より積極的に治療に参加するという「アドヒアランス」という概念が、世界的に取り入れられてきています。
医師は病気を治すお手伝いをし、患者さんが主体的に治療方法の決定に参加して、お薬を飲み続けていくという新しい考え方です。

うつ病の治療はどのように経過するのでしょうか?

うつ病の治療について、いま医師のあいだでは、このアドヒアランス(患者さんが治療に参加する意思)が低下してしまうこと、特に抗うつ薬を飲み続けられないことが問題になっています。
うつ病は図のような治療経過を経てよくなっていくと考えられています。抗うつ薬で治療を始めると、症状は少しずつ軽くなっていきます。そこで、もうこれは大丈夫だろうと服用中の抗うつ薬を自分の判断でやめてしまったり、減らしてしまったりする患者さんが少なくありません。
なかにはご家族が「もう抗うつ薬を飲まない方がいい」などと飲むことをやめさせてしまうという例も報告されています。

うつ病の治療はどのように経過するのでしょうか?

Kupfer, D. J.: J. Clin. Psychiatry, 1991, 52, suppl.28, 改変

抗うつ薬を飲み続けていくことはなぜ重要なのでしょうか?

うつ病は、治療中の症状がよくなったり悪化したりを繰り返しやすい病気です。特にお薬を飲み始めた頃は、抗うつ薬の効果で少し状態がよくなってきても、それが毎日のように続くわけではありません。医師に相談しないで抗うつ薬をやめてしまうと、最初の症状が再び出てきたり、最初の症状とはまた別の症状が出てくることもあります。そして症状が悪化したり、長引いたりして、最後にはなかなか治らないうつ病になってしまうこともあるといわれています。
うつ病の治療では、抗うつ薬を飲み始めてからたとえ自覚する症状がなくなっても抗うつ薬を飲み続けて、様子をみる期間が必要なのです。そして医師は患者さんの様子を見極めながら、少しずつ抗うつ薬の量を減らしていきます。

抗うつ薬の飲み始めはよく医師に相談しましょう

抗うつ薬を飲み始めても、1ヵ月以内にやめてしまうというケースが少なくないとされており、その理由として、「症状が改善しない」、「副作用がきつい」などが挙げられています。抗うつ薬は、効果があらわれるまでに4~6週間かかるといわれていますので、その間は飲み続けることが必要です。一般的に吐き気や眠気などが抗うつ薬の副作用として挙げられていますが、これも服薬を続けながら気になったことについてメモをとり、受診時に医師に相談するとよいでしょう。

うつ病治療にはご家族のサポートも必要です

ほかの病気でもそうですが、特にうつ病はご家族のサポートが治療に重要な役割を果たす疾患です。

患者さんご本人が「もう大丈夫、薬はいらない」といわれても、「お医者さんにいわれた期間は、しっかり薬で治していこうよ」と治療の後押しをしてください。患者さんとそのご家族も参加して、うつ病を悪化させたり、長引かせたり、抗うつ薬の効かないうつ病にならないように注意しながら治療を続けていきましょう。

お薬を使ったうつ病治療のポイントは?

うつ病の主な症状は、気分が落ち込み何もやる気が起きないといった精神症状であり、その治療はなかなか難しいものです。現在はお薬を使った治療が中心であり、お薬を飲むことで気分の落ち込みなどの症状が改善します。
ご家族と力を合わせ、患者さんがあせらず、ゆっくり、自分から治療にのぞむことで、治療期間をより短くすることができるといわれています。

お薬を飲み続けることの大切さ

うつ病の治療で患者さんは、不安や不眠などの症状を医師に訴えます。医師は検査、診断を行ったうえで患者さんと相談してお薬を処方します。

お薬を使った治療では、患者さんに「あせらず、ゆっくり、自分から」治療に取り組んでもらうことが、とても重要です。

治療期間をより短くするためにも、再発を防ぐためにも、患者さんが進んでお薬を飲み続けることが重要であり、自己判断によるお薬の中断はたいへん危険です。

うつ病の治療期間はどのくらいなの?

うつ病は通常3~6ヵ月でよくなります。しかし昨今は、長い治療期間を必要とする人も多く、1~2年に及ぶ患者さんもみられます。

また再燃、再発の頻度が高い病気で、治療期間中、いったん症状がおさまり治ったと思っても、同じ症状や他の症状が繰り返しあらわれることがあります。

治療では、医師が症状の有無を見極めながら、お薬の量を増やしたり減らしたり、また症状によっては他のお薬を併用したりして、最終的に医師の判断によりお薬の治療が終了します。

うつ病の治療では医師から「治療はおしまいです」といわれるまでは、お薬を飲み続ける必要があるのです。

うつ病を治療するお薬の特徴は?

うつ病を治療するお薬(抗うつ薬)にはいくつかの種類があります。お薬によって作用に違いがあり、医師は患者さんの症状によって使用するお薬を決めます。

うつ病のお薬が他の病気の薬と一番違う点は、その効果があらわれるのに4~6週間かかることです。この点をまず覚えておいてください。 そして、効果よりも先にお薬の副作用があらわれることもあります。

うつ病のお薬にはどんな副作用があるの?

うつ病のお薬で多い副作用は、眠気やだるさなどです。便秘や吐き気、下痢などの消化器症状も挙げられています。口の渇き、めまい、頭痛などもあります。

うつ病のお薬にはさまざまな副作用がありますが、そのほとんどは飲み始めて1週間以内にあらわれるといわれています。治療の初期にあらわれる副作用に、どのように対応できるかがこの治療の鍵になっているのです。

ただし、副作用があまりにつらいときは医師に相談し、お薬を変えてもらってしばらく様子をみましょう。

うつ病のお薬の主な副作用

お薬による治療で大切なこととは?

お薬による治療を始める時期は、医師と患者さんとの良好な関係を作るために大切な時期でもあります。

医師は患者さんやご家族からの情報提供をもとに治療計画を立てますが、もし患者さんが、処方されたお薬を処方通りに飲んでいなかったら、その計画はうまくいきません。医師は、処方したお薬をきちんと患者さんが飲んでいるということを前提として治療計画を進めていきます。

患者さんはもし何らかの問題でお薬が飲めない、飲んでいないならば、そのことをぜひ医師に伝えてください。

うつ病と神経伝達物質の深い関係とは?

研究者たちは何とかうつ病の原因を探ろうと、日夜必死で研究を続けています。近年の研究では、うつ病には脳内の神経伝達物質が役割を分担しながら大きく関わっていることが少しずつ解明されてきました。その分担された役割とは…??

抗うつ薬のきっかけは降圧薬だった!

神経伝達物質がうつ病に関わっているのではないかという仮説ができたきっかけは、高血圧の患者さんに血圧を下げる薬を投与したところ、うつ状態を示す人が出たことでした。

この高血圧の薬にはモノアミン類(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなど)を減らす作用があることがわかったため、それから、うつ病の原因として神経伝達物質のモノアミン類の研究が更に進んだのです(モノアミン仮説)。

ではうつ病に関わる神経伝達物質のはたらきをみていきましょう。

セロトニンのはたらきとは?

体に対する機能
● 睡眠や体温調節、時差ぼけの解消などの生理機能
● 歩行や咀嚼、呼吸などのリズム運動
● 消化管の運動などを促すはたらき
心に対する機能
● 起きているときには、常にシナプスに分泌され、覚醒状態を維持する
● 心のバランスをとる

どのように作られる?

セロトニンは、太陽の光を浴びたり、睡眠をとったり、肉・牛乳・納豆などたんぱく質(必須アミノ酸)を含む食品を摂取したりすることで、作られる量が増えます。

ノルアドレナリンのはたらきとは?

体に対する機能
● 俊敏な運動を可能にする
心に対する機能
● 気分を高揚させる

ドパミンのはたらきとは?

体に対する機能
● 身体をスムーズに動かす
心に対する機能
● やる気、意欲を起こさせる
● 目標を達成したときの満足感、興奮などを作り出す

いつも脳内でバランスをとっているが…

うつ病に関わるこれら3種類の神経伝達物質は、健康なときは脳内でバランスを保って分泌され、脳や体の機能・活動を上手にコントロールしています。

これらの3種類の神経伝達物質には下の図のようにそれぞれ特徴があり、親しい人との離別や、過労などのショックな出来事や過剰なストレスが引き金となって、いったんバランスが崩れると、うつ病の症状となってあらわれるのです。

3種類の神経伝達物質の特徴と関わりを大別すると、不安にはセロトニンとノルアドレナリンが関係しています。活動性の低下では、ノルアドレナリンとドパミンが、また食欲・性欲の低下ではドパミンとセロトニンが主に関わっているといわれています。

うつ病の症状と神経伝達物質は関連していると考えられています。

Leonard, B. E. et al.: Differential Effects of Antidepressants, 1999, pp.81-90, Martin Dunitz Ltd, London, 改変
監修:CNS薬理研究所 主幹 石郷岡純先生

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