うつ病を経験したわたしから、
大切なメッセージ
監修 : 一般社団法人日本うつ病センター(JDC)理事長 樋口 輝彦 先生、
認定特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・コンボ
うつ病は誰にとっても身近なもの
「迷い込んだように、歩いても歩いても
同じ場所にいるかのよう…」
そのような経験をされた方は、
ほかにもたくさんいらっしゃいます。
自分の中に何が起きているのかを知ることや
医師に伝えることで
出口への手がかりになるかもしれません。
うつ病は「こころにもからだにも重くのしかかる」症状が現れることも。
そのどちらの症状も医師に伝えることで回復の糸口が見つかるかもしれません。
だれにとっても身近なもの1-3)
うつ病の患者数は近年、増加しており、およそ73万人にのぼると報告されています。
別の調査では、16人に1人が、生涯にうつ病を経験しているとも推定されています。ですから、うつ病はだれにとっても身近な病気であるといえます。
だれでも、いやなことや悲しいことがあると、気分が沈んだりやる気がなくなったりすることがあります。しかし、うつ病は、日常で感じる一時的な気分の落ち込みなどではありません。言葉では表現しようがないほどつらい沈んだ気分または興味喜びの喪失が、ほとんど一日中、ほぼ毎日、2週間以上続き、仕事や日常生活に支障が出てくる状態が「うつ病」なのです。
うつ病の
「こころ」と「からだ」の症状4)
うつ病は、脳の働きに何らかの問題が起きた状態であると考えられています。
気力で解決できるものではありません。うつ病は、治療が必要な病気なのです。
うつ病の症状には、抑うつ気分、興味または喜びの喪失、意欲の低下・おっくう感などの“こころの症状”があります。
しかし、うつ病はこころだけではなく、いろいろな“からだの症状”があらわれることもわかっています。
うつ病には「からだの重さや痛み」がともなうことも4)
うつ病の“からだの症状”には、睡眠障害、疲労感・倦怠感、食欲の減退、動悸・息苦しさ・口が渇くなど、さまざまな症状があるといわれています。また、頭や肩、腰などの「重さや痛み」が、うつ病にともなうことがあるとも考えられています。
うつ病の治療では、こころの症状だけでなく、からだの症状も治療することが重要です。
まずは自分の症状を把握して、診察の際に医師に伝えましょう。
- <参考資料>
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- 1)厚生労働省大臣官房統計情報部:平成26年 患者調査
- 2)川上憲人ほか, 平成18年度厚生労働科学研究費補助金, こころの健康についての疫学調査に関する研究
- 3)日本精神神経学会(日本語版用語監修),髙橋三郎,大野裕(監訳):DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル,2014,pp. 160-165,医学書院,東京
- 4)坂元薫:気分障害(上島国利ほか編),2008,pp. 37-45,医学書院,東京